ツイン形成のプロセスは強誘電体の分極反転と同様に主に4つのプロセスから成り立つ。微細周期で均一な周期構造を得るためには、核生成プロセスの制御が重要であり高い密度が必要である。平成19年度までに幅10μm(周期20μm相当)のツインについて、核生成条件が得られ、バックスイッチングを抑制して周期構造を形成できる条件が見いだされている。 平成20年度には実時間観察法を用いて周期18μmの微細ツイン構造が実現でき、波長532nmの緑色レーザーを入射することにより第二高調波発生を行うことができた。擬似位相整合による波長変換としては最短波長の記録である。これによりツイン構造の非破壊評価を行うことができた。屈折率楕円体の回転による複屈折観察、エッチングによる破壊観察に加えて、波長変換による非破壊評価と、相補的な評価が行われた。また波長可変レーザーを用いた波長スキャンによるツイン構造均一性の調査も行い、長さ方向の均一性も評価できた。 常誘電体における極性制御非線形光学の開拓において、紫外全固体レーザー光源を実現する水晶ツイン構造が、波長266nmの紫外光発生に踏み出せたことは大きな跳躍といえる。また精密なツインの制御、評価が実現できたことで、フィルタや発振器として用いられる弾性波デバイスへの応用展開も現実味を帯びてきており、分野横断的に波及する可能性がでてきている。
|