研究課題/領域番号 |
19340086
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
網塚 浩 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40212576)
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研究分担者 |
天谷 健一 信州大学, 教育学部, 准教授 (70261279)
横山 淳 茨城大学, 理学部, 准教授 (70361285)
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キーワード | 重い電子系 / 隠れた秩序 / 異方的超伝導 / 高次多極子 / 反強磁性 / ウラン化合物 / アクチナイド / 5f電子系 |
研究概要 |
本研究では、ウラン化合物に現れる弱い磁性と隠れた秩序の起源、並びにこれらの性質と異方的超伝導との関係性の解明を目指している。今年度の主な研究成果は以下の通りである。1. 歪みの少ない良質なURu_2Si_2の単結晶に対し、隠れた秩序が四極子秩序である可能性を検証するために、共鳴X線散乱実験を原研量子ビーム応用研究部門・稲見俊哉氏との共同研究として実施した。その結果、過去の報告より約一桁高い精度で、期待される秩序波数をとる反強四極子秩序が無いことを確認した。同時に、弱い反強磁性が結晶格子の歪んだ領域で発生していることを初めて微視的に検証した。これによって、この物質の弱い反強磁性が、結晶中の残留歪みにより誘起されているものであることが確実となった。2. 上の結果を受け、UPt_3の弱い反強磁性についても同様に共鳴X線散乱を用いて調べた。過去に一件観測例があるが、我々の実験では磁気散乱が観測できなかった。格子表面がほぼ一様に歪んでいることがわかり、これが原因なのか、あるいは磁性が不均一なために弱すぎて観測にかからないのか更に調べる必要がある。3. URu_2Si_2の隠れた秩序変数が八極子秩序である可能性を検証すべく、1軸応力下で中性子弾性散乱を実施した結果、期待される散乱面内ではそのような秩序は精度内で無いことがわかった。4. 関連物質として磁性と超伝導の共存系であるCeRh_<1-x>Co_xIn_5の中性子散乱を実施し、超伝導発現に伴う磁気構造の逐次変化を観測し、超伝導機構との関連性を議論した。5. 同じく関連物質CeRh_<1-x>Pt_xについて強磁性消失に伴う非フェルミ液体異常を詳しく調べ、強磁性量子臨界点が単純には存在せず、クラスターグラス状態、スピングラス状態が発現していることを示した。
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