研究課題/領域番号 |
19340090
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 和芳 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (70133923)
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研究分担者 |
水木 純一郎 独立行法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (90354977)
遠山 貴巳 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70237056)
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60241569)
藤田 全基 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20303894)
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90323097)
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キーワード | 中性子ビーム / 強相関電子系 / 磁性 / 中性子散乱 / 放射光 |
研究概要 |
1)昨年度に生じたCuの大型単結晶育成に関する問題解決については大きく前進し、最終的にCuモノクロメーターの試作器を1台完成させることができた。このモノクロメーターを用いて実際の中性子散乱を行い、従来型のグラファイト結晶による性能比較を行った。来年度以降で、単結晶育成を改良し、さらに単結晶の質をさらに高めた、本格型モノクロメーターを2台製作する予定である。またこれらモノクロメーターの製作を効率よく行うために、JRR-3原子炉の熱中性子ガイドの3軸型分光器AKANEを本格的に整備した。 2)他の量子ビームとの共同研究については、角度分解光電子分光(ARPES)による銅酸化物超伝導体の電荷励起状態に見られる擬ギャップ研究に成果が見られた。測定はホールドープ型銅酸化物La2-xSrxCuO4と電子ドープ型鋼酸化物Nd2-xCexCuO4の両方で、別々のグループにより行われた。前者では広いドープ領域で、後者では反強磁性-超伝導の境界領域での擬ギャップの変化の様子が明らかにされ、今後の中性子散乱による磁気励起からの擬ヤップとの関係を議論する足場が構築された。 3)中性子散乱を用いて銅酸化物超伝導体La2-xSrxCuO4のNi不純物効果が、平成18年度の反強磁性秩序相に引き続き、反強磁性境界近傍の超伝導体を用いて初めて調べられた。この結果、Ni置換に伴い、超伝導相特有の格子不整合磁気相関の領域が減少し、非超伝導スピンガラス相特有の磁気相関領域が増加することが確認された。この研究により、格子不整合磁気相関が超伝導にとって重要な磁気相関であることが、不純物効果の立場から明らかにされるとともに、X線ビームを用いた相補研究、すなわちNi周りの局所構造の情報の重要性が再確認され、次年度に向けての研究方針が明確にされた。
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