研究概要 |
1. CeやYbを含む重い電子系物質,YbXCu_4(X=In, Ag, Cd)and CeYIn_5(Y=Ir, Rh),において臨界価数転移点が磁場により誘起されることを理論的に指摘し、メタ磁性的な振る舞いなどいくつかの従来説明が付かなかった実験事実を理解することに成功した. 2. 重い電子物質CeRhIn_5が加圧により反強磁性相から常磁性相に転移し,de Haas-van Alphen効果で決められるフェルミ面のトポロジーが変化する現象は,Ceイオンの価数転移として理解できることを,f-cクーロン相互作用を含む「拡張アンダーソン模型」にもとづいて,理論的に示した. 3. 重い電子物質CeCu_2Si_2の加圧下の超伝導状態は低圧側(1GPa以下)と高圧側(1.5GPa)とで異なる対称性をもつd波超伝導が実現していることを示唆する実験事実を理論的に分析し,低圧側ではB_<1g>対称の高圧側ではB_<2g>対称の超伝導状態であるとすれば矛盾がないことを示した. 4. スピン分極した3次元引力ババード模型のバーフフィルドでの温度-磁場相図をFLEX近似の範囲で決定し,d波スピン密度状態が出現する領域が存在することを示した. 5. 2次元引力ババード模型に対して,BCS-BECのクロスオーバーが磁場の影響をどのように受けるかについて基底状態で有効なLeggett理論にもとづいて議論し,安定化するクーパーペアの重心運動量の相図を磁場-引力相互作用の平面で決定した. 6. 奇振動数超伝導状態における負マイスナー効果の問題は,カレント応答関数に対するインコヒーレント過程(反強磁性スピン波)を考慮することで回避できることを示した.
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