スピネル型Mn304の軌道自由度の磁場制御とマグネトキャパシタンス スピネル型Mn304は、スピネルのBサイトのMn3+に2重縮退したeg軌道の軌道自由度がある物質である。この縮退を解くために1000Kという高温でcubic-tetragonalへの相転移を起こし、さらに43Kでフェリ磁性転移を起こす。この物質の誘電率を磁場下で測定した結果、フェリ磁性相で、tetragonalの面内方向に磁場を印加したとき、それと垂直な面内方向の誘電率が大きく(2%)変化することを見出した。また、この現象が、スピン-軌道相互作用によって、異方的なeg軌道が磁場方向を向いたスピンの方向に合わせて回転するためであることを明らかにした。 ペロブスカイト型La1-xSrxFeO3+薄膜の電場誘起の不揮発な光学反射率変化 遷移金属薄膜にパルス電場を印加することにより、電気抵抗が不揮発にスイッチングを起こす現象が注目されている。この現象のメカニズムを明らかにするために、光学反射率のイメージング分光測定を行った。その結果、電場印加によってできた伝導度の高い部分が電場の印加方向の逆方向に動くことを見出した。この実験結果により、電気抵抗のスイッチングのメカニズムが、酸素イオンの電場による移動によることを確立した。 SHG顕微鏡によるフェロイック結晶のドメイン構造の3次元観察 3次元SHG断層写真を撮るときに、特定のSHGテンソル成分ではよく観察できるのに対し、他の成分を用いるとほとんど内部が見えない現象を、40年前にBoydとKieimanが発表した論文にそのヒントがあることを見つけて定量的な説明をすることに成功した。また可視化条件を満たす成分を用いてLiNbO3擬似位相整合素子中に書き込まれた周期性反転分域の3次元非破壊観察に成功した。
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