研究課題
ホウ素ドープダイヤモンドは、半導体に起こる珍しい超伝導体であり、その発現メカニズムの解明や半導体の特徴を生かした新機能デバイスの開発が求められている。ホウ素ドープダイヤモンドの有効なキャリア濃度は、ドープしたホウ素濃度の1/3から1/4程度に留まっており、効率よく高い超伝導転移温度を実現するためには、効率の高いキャリア導入が求められている。そこで、ドーピング効率が落ちる原因を探るために、ホウ素の超強磁場NMRを測定したところ、ホウ素には、およそ4つのサイトがあり、そのうちの一つのサイトがキャリアドープに貢献していると考えると光電子分光の実験結果とよい一致が得られることが分かってきた。今後、見出されたサイトがそれぞれどのようなサイトのホウ素であるか検討すると同時に、有効なホウ素濃度が高まるように、合成条件を最適化していく必要がある。ダイヤモンドの電界効果デバイスを作製するためには、超伝導ダイヤモンド超薄膜を作製する必要がある。これまでの研究で、ダイヤモンド薄膜の膜厚方向に超伝導転移温度の分布があり、表面ほど超伝導転移温度が高いことが分かってきた。このことは、超伝導転移温度の高い超薄膜を作製することは、大変難しいことを示唆している。そこで、プラズマCVD合成条件を検討し、薄くても高い超伝導転移温度を実現する合成条件の探索を行った。その結果、これまでより2桁薄い数十ナノメートルの超薄膜でも、超伝導転移温度が5Kを上回る試料の合成に成功した。今後、この超薄膜のキャリア濃度やホウ素サイトの評価を行い、最適合成条件を探索し新機能デバイスの開発へ発展させる。
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