研究課題
本研究では、Hg系銅酸化物高温超伝導体HgBa_2Ca_<n-1>Cu_nO_<2n+2>(n=1-3)の大型高品質単結晶育成技術を確立することを目的とする。平成20年度は、以下の各事項を試み、所定の目的を達成した。1.Hg系銅酸化物単結晶育成に最適な出発原料の選択と合成条件の確立。様々なバリエーションを試した結果、Hg、BaO_2、Cu、およびCuOを出発原料とする新たな単結晶育成プロセスを発見した。本手法を用いることにより、中間生成物(前駆体)作製に伴う手間と不確実性が排除され、更に、結晶育成中の酸素濃度の精密制御が可能となった。2.大型単結晶育成のための防爆容器の開発と最適化。単結晶試料の大型化を目指し、昨年度開発したインコネル製防爆容器の大容量化を行った。上記の組み合わせにより、HgBa_2CuO_<5+δ>において、数mm^2角の大きさを有する大型かつ良質の単結晶育成に成功した。得られた単結晶試料を用いた様々な研究が現在進行中であり、最高のTcを有する超伝導体物質群の物性が明らかになりつつある。又、本研究において得られた試料合成手法を、同年度に発見された鉄ヒ素系超伝導体に適用することにより、世界に先駆けて良質の試料合成に成功し、その基礎物性測定を行った。
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J. Phys. Soc. Jpn. 77
ページ: 083704-083707
ページ: 105003-105004
J. Phys. Soc. Jpn. 77 suppl
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