高分子・コロイドを内包したベシクル膜変形の解明(実験グループ:今井・八重樫グループ)ベシクル内に高分子(DNA)やコロイドを内包しその閉じ込めのエネルギーと膜の弾性エネルギーの競合によるベシクルの変形挙動を調べた。コロイドを内包した場合に特徴的なストマトサイトから2連球型ベシクルへの転移が観察され、枯渇効果を含むコロイドの並進エントロピーとの競合によるモデルで現象を説明した。また、DNAを内包した場合はそのような変形は観察されなかったが、ベシクル内でのDNAの拡散係数の測定を行った。まだ、統計が不十分なので定量的な事はいえないが、ベシクル内に閉じ込められることにより拡散係数が増大する傾向にある結果が得られた。 脂質ドメイン形成と変形のシミュレーション(シミュレーショングループ:浦上) Molecular Dynamics法によるベシクルの変形挙動を追跡し、基本的な挙動を捉えられたが、システムサイズが小さいため実験との対応をとるのは困難であった。そのため、新しくDPS法を導入しより大きなシステムでの計算を可能にした。また、ベシクル内での相分離現象のシミュレーションにも成功し、その静的・動的構造因子を計算し、実験データと比較、おおむね良好な一致が見られた。
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