インドネシアでの超伝導重力計(SG : Superconducting Gravimeter)観測は、我々のグループによって、1997年以降、バンドンの火山調査所構内で実施されてきた。これは、低緯度の赤道域における唯一のSG観測点として、GGP(Global Geodynamic Project)などで、国際的にも高い評価を得ていたが、2004年3月の集中豪雨ため、同観測点が水没し復旧不可能な状態に陥った。 このような状況で、本研究は、既存のSGの冷凍機システム等の改良で、低コストで保守性の優れたSGシステムを構築し、インドネシアでのSG観測を再開・連続観測を実施し「赤道域から地球を覗く」ことで、未解決であった地球自由振動帯域での観測・解析、長周期潮汐の解析、大気活動や海洋変動に伴う重力変化や、テクトニクスと関連した経年的な重力変化の検出などの課題に取り組むことを目的とした。 具体的な研究計画としては、2007年度にSGシステムの改良、国内でのテスト観測を実施し、2008年度にインドネシア・チビノンのBAKOSURTANAL(インドネシア国立測量及び地図調整機構)内での観測開始し、その後、データの蓄積をはかることで、以下のような課題の解明を目指している。 (1)Global Geodynamics Project(GGP)観測網と連携し、M8クラスの地震による地球自由振動解析から地球自由振動振幅の地域的異方性を定量的明らかにすること。 (2)精密な潮汐解析により赤道域での潮汐定数を決定するとともに、海洋潮汐モデルの検証を行うこと。 (3)衛星重力データの応用・検証研究も視野に入れ、長期の経年的重力変化として、赤道域特有の地球表層流体(大気・海洋・陸水)の変動による重力変化を捉えること。
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