研究課題
未だ乱流観測の空白域として残されている深海底の凹凸から上方に広がる乱流ホットスポットを正確に定量化するパラメタリゼーションの式を得るため、2009年6月の北海道大学水産学部附属練習船「おしょろ丸」の北洋航海に参加し、天皇海山列上において、超深海乱流計VMP-5500による海面から海底直上までの乱流消散率の観測、電気伝導度・水温・深度計によるファインスケールのストレインの観測、投棄式流速計によるファインスケールの流速鉛直シアーの同時観測を行った。その結果、天皇海山列の海底上では、潮流と海底地形の凹凸との強い相互作用を通じて高鉛直波数・高周波数のリー波が励起されることで、内部波場がギャレットムンクの平衡場から著しく歪んでいることがわかった。このため、ともにギャレットムンクの平衡内部波場の存在を仮定して、ファインスケールのストレインの情報のみから乱流強度を予測するWijesekera et al.(1993)のパラメタリゼーションの式や、ファインスケールの鉛直シアーの情報のみから乱流強度を予測するGregg(1989)のパラメタリゼーションの式は、それぞれ、真の値よりも著しく過大評価および過小評価してしまう。この一方で、鉛直シアーとストレインの両方の情報を用いることで、内部波場のギャレットムンクの平衡場からの歪みを考慮できるGregg-Henyey-Polzinのパラメタリゼーションの式(Gregg et al., 2003)が、現時点において、深海底上の乱流ホットスポットを最も正確に定量化できることを確認した。最後に、このGregg-Henyey-Polzinのパラメタリゼーションの式により推定した乱流ホットスポットの情報を海洋大循環モデルCOCOに組み込んで深層海洋大循環のパターンを再現し、従来の数値実験結果と比較することで、そのパフォーマンスを確認した。
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