研究課題
大気乱流の研究は、大気力学の諸現象の素過程を明らかにし、大気中のエネルギー、運動量および物質の輸送を理解する上で本質的に重要であるが、その観測は極めて困難である。大気レーダーは、大気乱流からの散乱エコーを観測すること、時間・空間的に連続観測可能である点で、大気乱流の観測装置として優位にあるが、従来空間分解能に限界があった。本研究では、下層大気における乱流の3次元構造を連続観測可能とするイメージング・ウィンドプロファイラー(Imaging Wind Profiler ; IWP)を開発し、大気乱流の超微細構造とその生成から消滅までの過程を解明することを目的とする。本年度は、昨年度に設計・制作した周波数切替機能付き局部発振器を、コヒーレント積分毎に周波数変更できるように改良を行った。それを用いて、信楽MU観測所においてMUレーダーとの同時試験観測を実施し、Capon法により高高度分解能でブライトネスを得る手法を確立した。また、空間イメージング観測を実現するための受信専用システムを開発した。送信は既存のLQ7をそのまま利用し、LQ7と受信専用システムとの間で同期を取る方式とし、既存のシステムにはできるだけ手を加えない形で受信専用システムを実現し、既存システムでは通常通りの風速プロファイルの連続観測を可能にした。すなわち、デジタル受信機を開発し、既存の受信IF信号7系統をそれぞれ2分配し、7つの独立の複素時系列データを取得可能とした。
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