研究概要 |
温室効果気体(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素)とオゾン破壊物質(フロン、ハロン、塩化メチル、臭化メチルなど)濃度の長期変化による、オゾンと亜酸化窒素の気候変化を通した濃度変化を調べるため、化学気候モデルによるオゾンと亜酸化窒素分布の1980年〜2100年までの121年間積分を行った。 1.まず、この数値計算のためのモデルの設定作業を行った。 (1)気温、風速、物質分布の初期値、およびフロン、ハロン、温室効果気体の地表濃度シナリオデータの、バイナリのデータセットを作成した。 (2)オゾンと亜酸化窒素分布の長期変動の解析を行うためには、その化学過程、力学過程に関連したモデル変数の出力を行うことが必要である。具体的には、オゾン濃度、亜酸化窒素濃度、その関連物質の光解離率、オゾン化学触媒サイクルによるオゾン破壊率、気温、水平風速、鉛直風速、渦度、発散、地表面気圧、ジオポテンシャルハイト、などの出力を1日単位で出力するように設定した。 2.この初期値と地表面値を使ってCCSR/NIES化学気候モデルの121年間積分を行った。化学気候モデルの成層圏内の鉛直解像度は対流圏界面付近で1.1km、下部成層圏で約2km、上・中部成層圏で2〜3kmである。水平解像度はT42(2.8°×2.8°)である。このモデルの121年間分のアウトプットは、購入したディスク装置に保存した。 この計算期間の121年間について、温位600K(高度22-24km付近)、45-90°Nの緯度範囲における亜酸化窒素濃度のPDF解析を行った。その結果、Akiyoshi and Zhou(2007,JGR)の1979年〜2002年に見られたのと同様に、北極渦崩壊の早い年と遅い年との間には、亜酸化窒素濃度の季節変動に明確な違いがあることがわかった。オゾン濃度変動を含めたより詳しい解析は次年度に行う。
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