研究課題/領域番号 |
19340138
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
秋吉 英治 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (80211697)
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研究分担者 |
杉田 考史 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (90312230)
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キーワード | 亜酸化窒素 / オゾン / 成層圏 / 気候変動 / 化学気候モデル / 長期変動 / 大気波動 / 子午面循環 |
研究概要 |
前年度に引き続き、子午面循環の北極域の下降流の強さがある値以下で、下部成層圏の亜酸化窒素濃度がある値以上の年のみ(輸送の影響が小さい場合)、長期的に見るとハロゲン量の増加/減少に呼応したオゾン量の減少/増加が見られる、などといった北極域オゾン破壊の経年変動の分類化が可能かどうかに着目した解析を行った。これらの値に閾値をいくつか設けて、それらの閾値以上(以下)について、計算を行った120年を分類した。その結果、45度以北の下部成層圏(温位面600K、~高度22km付近)の亜酸化窒素濃度の1月~4月の最低値がある値以上の年だけを集めると(これらの年は、比較的波動の影響の少ない年として分類される)、ハロゲン量の増加/減少に呼応したオゾン量の減少/増加が見えてくることがわかった。また、最低値の代わりに、45度以北の下部成層圏で、亜酸化窒素濃度がある値以上を示すモデルのグリッドの総面積の大きい年だけを集めても同様な結果が得られた。以上の結果は、亜酸化窒素濃度を指標にして北極域のオゾン量の年々変動の輸送による変動を取り除くと、ハロゲンによるオゾン層変化を取り出せることを示している。このことはまた、波動活動の年々変動によって、北極域のオゾン破壊量が大きな年々変動を起こし、それが原因で、将来のある年の北極オゾン破壊量の予測が困難になっていることを示している。つまり、波動活動の年々変動の幅を考慮すれば、北極のオゾン破壊量の不確実な範囲を明らかにできることがわかった。
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