研究課題
基盤研究(B)
極域オゾン濃度の年々変動は、オゾンの化学破壊の年々変動と、オゾン輸送の年々変動の、両方の影響を受ける。そこで、この両方の過程に関係する、オゾン濃度、亜酸化窒素濃度、気温、大気大循環(子午面循環)、化学オゾン破壊率などの量的関係を調べ、オゾンの化学破壊の年々変動と輸送の年々変動を分離して理解することが本研究のポイントである。成層圏の大気波動活動の年々変動によって引き起こされた上述の要素の年々変動の因果関係および量的関係を数十年にわたるモデル計算結果と衛星観測データを解析し、明らかにしていくことが本研究の目的である。それによって、複雑な北極域オゾン変動に関して力学的にコントロールされている部分と化学的にコントロールされている部分とをある程度分離することが可能となり、それはまた、北極域オゾン層破壊の将来予測の不確定性の縮小につながる。この目的達成のために、以下を行う。(1)1979~2002年について、再解析データ(ERA40)の気温、東西風速、南北風速を、化学気候モデルにナッジングという手法で同化し、北極渦崩壊時期と北半球中・高緯度下部成層圏の亜酸化窒素濃度の年々変動の関係を調べる。(2)1979~2100年までの過去から将来にわたる期間について、温室効果ガスおよびハロゲンガス濃度のシナリオと化学気候モデルとを用いた、気象要素(気温、風速など)、微量成分濃度(オゾン、亜酸化窒素濃度など)、オゾンの化学破壊速度の計算(3)(2)の実験について、平均子午面循環(残差循環)、EP-flux、亜酸化窒素濃度など、オゾンの輸送とそれを引き起こす要因および結果に関する解析、また、気温やオゾンの化学破壊速度など、オゾンの化学的な破壊に関連する解析(4)解析された力学量・化学量と北極域オゾンおよび亜酸化窒素濃度の年々変動に関して統一的な見解を得る。
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