研究課題/領域番号 |
19340139
|
研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
内山 明博 気象庁気象研究所, 気候研究部, 室長 (50354460)
|
研究分担者 |
山崎 明宏 気象庁気象研究所, 気候研究部, 主任研究官 (40278106)
工藤 玲 気象庁気象研究所, 気候研究部, 研究官 (00414508)
|
キーワード | エアロゾル / 光学特性 / 単一散乱アルベド / キャビティリングダウン法 / ネフェロメーター / 消散係数 / 散乱係数 |
研究概要 |
本研究では、エアロゾルの消散係数測定装置の開発を行う。また、この装置と散乱係数測定装置を組み合わせ、エアロゾルの一次散乱特性を測定するためのシステムを構築する。二年目は、一年目に開発、改造した装置を用いて測定を行い、装置の性能評価を行った。 一年目で開発したCRDS法によるエアロゾル消散係数計測装置を用いて、夏季に東京都心において、従来法であるネフェロメーター(散乱係数測定)およびPSAP(吸収係数測定)との同時観測を行った。また、気相オゾン濃度の計測も同時に行った。高濃度オゾン発生日には、(散乱(Neph)+吸収(PSAP))が、消散(CRDS)に比べ、15-30%大きくなり、ネフェロメーターの過大評価が示唆された。また、CRDS・ネフェロメーター・PSAPで測定した消散・散乱・吸収の各係数のうち、2つのパラメータから導出した単一散乱アルベド(SSA)を比較することにより、PSAPの測定値の評価を行った。PSAPは、フィルター上に堆積したエアロゾルによる多重散乱などの補正が必要であるが、従来の用いられてきたBondら(1999)の補正式では吸収係数を過大評価する一方で、近年提案されているSheridanら(2005)やVirkkulaら(2005)の補正式を用いると、散乱(Neph)+吸収(PSAP)が消散(CRDS)と概ね一致することが判明した。 一年目で改造したネフェロメーターを多波長化(3波長)して、精度の高いネフェロメーター(TSI Medel3563)と比較した結果、ほぼ同程度の精度が得られていることが分かった。改造したネフェロメーターは、大きな粒子を含む時前方への散乱光を推定できないので、多波長ネフェロメーターとPSAPのデータから散乱係数を補正する方法を開発した。シミュレーションデータで補正方法の精度を調べた結果、概ね、一次散乱アルベド(散乱係数/(散乱係数+吸収係数))は、±0.005以下の精度で推定できた。 本研究により開発したCRDS装置によって全消散係数(散乱+吸収)の測定が可能になり、従来の散乱係数、吸収係数の測定法、補正法が評価できるようになった意義は大きい。
|