研究課題/領域番号 |
19340140
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
伊藤 進一 独立行政法人水産総合研究センター, 東北区水産研究所・混合域海洋環境部, 室長 (00371790)
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研究分担者 |
植原 量行 東海大学, 海洋学部・海洋学科, 准教授 (90371939)
蒲地 政文 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 室長 (00354548)
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キーワード | 海洋混合層 / モード水形成 / 大気海洋相互作用 / 係留系 / 北西太平洋 |
研究概要 |
平成20年度に設置した混合層係留系の回収に成功し、データの回収を行い、測器および金具類の整備後に再設置を行った。流速データはほぼ100%取得されていたが、水中ウインチに取り付けていたCTDデータが残念ながらデータ欠測していた。このため、混合層内の水温・塩分変化の周年観測値を得るには至らなかった。しかしながら、流速データおよび係留系自身に取り付けたCTDデータから、時計回り渦が伝搬してきた際に深い混合層が形成されていることがわかった。また、係留系アレイを展開していたため、東西および南北の流速計のラグ相関解析から渦の伝搬方向が求まった。 さらに、係留系回収・再設置時に行った海洋観測によって、深い混合層に伴って形成された移行領域モード水の分布を詳細に調べた。その結果、移行領域モード水は、亜寒帯前線と亜寒帯境界が分離し、移行領域が広がった海域に存在していることがわかった。この領域では、黒潮続流から分岐した暖流(準定常ジェット流)が移行領域モード水の北側に流れ込んでおり、高温・高塩な黒潮系水を供給していることがわかった。等密度面混合を仮定して、親潮および黒潮成分流量を求めたところ、移行領域モード水の存在する密度26.5-26.7σθ層において、黒潮成分流量が準定常ジェット流域で極大となっており、この層を中心に高温・高塩な黒潮系水が供給され、冬季に深い混合層が形成され易くなっていることが示された。このように、強流帯の南側にモード水が形成される関係は、黒潮続流の南側で亜熱帯モード水が形成される関係と類似しており、黒潮続流の分岐流である準定常ジェット流においても同様のメカニズムが働いていることが示された。
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