宇宙プラズマ観測において、非熱的物理現象(粒子加速)は、宇宙の遙か彼方おこる天文的な現象から太陽フレアやオーロラ粒子といった地球・惑星環境という我々の手が届く身近な領域まで多くの研究者達に注目されている。「非熱的な粒子加速」現象の解明、"いつ"、"どこで"、"どのように"加速がおきるのか?がキーワードとなっている。この解明こそが、サイエンス的な大きな目標である。本研究で開発する中・高エネルギー粒子イメージャーは、2013年打上を目指すジオスペース探査に日本独自の学術的視点と計測技術、衛星開発により参加することを目的に推進されているERG計画にとって極めて重要である。目標を達成するために、本研究では中高エネルギー用の電子線計測イメージャー開発を行ってきている。ストライプあるいはピクセル型の半導体検出器を用いることにより、高い角度分解能・すぐれたエネルギー分解能・マイクロ秒オーダーの時間分解能計測が可能となるセンサー設計をすすめてきた。本年度は不感層の非常に薄いシリコン検出器を開発し、高エネルギー電子センサーの測定下限エネルギーを20keV以下に下げることに成功し、昨年に開発した中エネルギー電子計測器の計測下限界である80keVに対して、宇宙空間でクロスキャリブレーションを実施することが可能となった。さらに、半導体検出器の実装方法を検討し、宇宙機に搭載可能なサイズで目標の性能を実現できることを確認した。
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