研究分担者 |
横山 祐典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10359648)
鈴木 淳 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (60344199)
中島 礼 (独)産業技術総合研究所, 研究員 (00392639)
石川 剛志 海洋研究開発機構, 高知コア研究所, グループリーダー (30270979)
竹内 美緒 (独)産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (20357403)
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研究概要 |
過去の地球環境を復元する際に用いられる試料としてサンゴや有孔虫等の生物が作りだす殻や骨格などが挙げられる。特に,近年では,サンゴや有孔虫等の炭酸塩生物殻の物質的側面,すなわち同位体,化学組成に注目し,より精度高く水温を推定する手法が開発されつつある。そして,生物起源炭酸塩を用いた研究では,定量的な環境復元に向けての環境支配因子の間接指標(Proxy)の開発,その基礎となる生物鉱化作用(Biomineralization)の研究が併行して進行しており,近い将来ますます発展するものと期待されている。今回,上記の幾つかの因子を精度高くモニターした上で,サンゴの精密飼育実験を行ない,その骨格を分析した。恒温水槽飼育サンゴ骨格の酸素同位体比と水温の関係については,同飼育温度区,例えば飼育温度21℃(誤差0。1℃)の場合,試料によって骨格の酸素同位体比に約1.5パーミルの差がでてしまった。これは温度換算で約6℃に相当する程大きいものである。一方,これを骨格形成速度との関連で解析すると,ばらつきはかなり解消された。これは,酸素同位体比のばらつきが速度論的効果により,説明されることを意味している。このように速度論的効果が発現するのは,換言するとサンゴが同位体交換以上の素早いスピードで石灰化し,その効率が非常に高いためと解釈できるが,これにはアミノ酸が関与しているらしく,アスパラギン酸の相対含有量が生物の活性度の間接指標として使用できる可能性が明らかとなった。
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