研究概要 |
本研究課題は,マントルウェッジ前弧側由来のかんらん岩を構造地質学的に解析することによって地震学と実験物質科学から提案されているマントル流動モデルを検証し,マントルウェッジのダイナミクスに新知見を与えることを目的とする。 本年度は,カムチャッカ半島アバチャ火山から産出されたかんらん岩捕獲岩の構造解析を開始した。試料は,金沢大学理学部の荒井章司教授のコレクションの一部である。これまでに得られたかんらん石の結晶方位定向配列の解析結果から,特に粗粒等粒状構造を有するかんらん岩は主にEタイプとよばれるものであることがわかった。また,長野県北部八方尾根かんらん岩体の構造解析を行った結果,蛇紋岩化作用の直前に著しい細粒化作用をともなう塑性変形によってBタイプが発達していることをつきとめた。その他,南部マリアナ海溝かんらん岩,トンガ海溝かんらん岩などの海洋底かんらん岩の解析も開始したところである。
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