研究課題
研究代表者が提唱して実施してきたCHIME年代測定は、日本やアジア大陸東縁の造山帯の解析研究を大幅に進展させてきたが、一部で同位体年代どの不一致が未解決のまま残っていた。これを解決するために、日本列島の南部北上帯、領家変成帯、肥後変成帯および中国吉林省の地質調査と試料採集を実施した。また、CHIME年代とPIXI年代の比較研究を実施しているポーランドのボヘミア地塊の地質調査を実施した。同位体比を測定しないCHIME法では同位体非平衡の検知が困難であったが、モナザイトの(Ca+Si)/(Th+U+Pb+S)比やK含有量、ジルコンのCa含有量等の化学的指標等でディスコーダントな測定値を識別する方法を確立した。化学的指標でスクリーニングした測定値から計算したCHIMEは同一鉱物粒子を分析した同位体(SHRIMP)年代と一致することを確かめた。これにより、肥後変成帯の不一致(同位体年代が約250Ma、GHIME年代が約120Ma)は砕屑粒子を含めて同位体分析したために同位体年代が古くなったこと、中国の黄山ではディスコーダントな測定値も一括したために138±6MaのCHIME年代を162±10Maと計算していたこと等を明らかにした。また、0.1mm大のモナザイト粒子の年代マッピングにより、領家変成帯には100Maと80Maに2回の部分溶融を伴う高温期があったことを明らかにした。本研究の主要目的である二畳期以降の「若い」地質帯の高精度CHIME年代測定や年代マッピングを効率的に実施するために、EPMA画像のデジタル取得回路の設計と製作、年代マッピングに関する解析プログラムの作成、分光器とステージの制御システムの再検討を行った。EPMA画像の取得は計画性能の実装回路を作成して実装し、分光器とステージの制御も実用的なシステムに置き換えた。年代マッピング解析はオフラインで実施するプログラムを実用化した。
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Gondwana Research 14(in press)
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