研究課題
中国黄土高原のレス・古土壌についてガウス・マツヤマ地磁気極性境界付近の試料採取を行ろた。黄土高原南部のPingliang、Xifeng、Lingtaiの3か所で地質調査を行い、地層の連続性、堆積物の一様性、アクセスの良さからLingtaiを主要試料採取場所として選んだ。レス・紅粘土境界を挟む厚さ25mの地層からほぼ連続したブロック試料300kgを採取した。これまでに約50%のブロック試料から磁気分析試料を整形し、帯磁率測定を行った。それを従来の研究結果に照らし合わせ、対象とする258万年前のガウス・マツヤマ境界の層位を推定した。また、研究協力者(楊天水・中国地質大准教授)の協力で取得していたXifengの古地磁気試料の分析の結果、ガウス・マツヤマ境界付近には地磁気擾乱は記録されていないことが分かった。これについては、本年度の地質調査で堆積間隙が原因であることを明らかにした。これは、従来行われていたXifengにおける古地磁気・古環境研究の見直しの必要性を示唆する重要な発見である。大阪湾1700mコアの古地磁気分析の結果、強い二次的磁化の影響を受けているゾーンの存在を見つけた。それは、中国黄土高原Baojiで発見している地磁気擾乱の時期に一致していることから、二次的磁化の割合が大きいのは初生磁化が小さいため、つまり当時の地磁気強度が弱かったためと思われる。さらに、このゾーンは花粉分析から分かっている寒冷化の時期とも一致していることが分かった。今後、さらに詳細な古地磁気変動を調べ、気候についてもより詳細な花粉分析を行って地磁気変動との相関を調べる必要性が確認できた。
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Journal of Geophysical Research 113
ページ: B05103, doi : 10.1029/2007JB005264