研究課題
中国黄土高原Baojiのレス・古土壌層の古地磁気を高密度間隔(最高2cm)で再分析した結果、ガウス・マツヤマ地磁気逆転が28回の小反転を含む地磁気擾乱を伴うことを明らかにした。また、その擾乱期を含む地磁気逆転トランジションはレッドクレイ層直上のレスL33層の中に記録されている。深海底コアの古地磁気データから、逆転に伴う地磁気強度減少はガウス・マツヤマ境界の数万年前から起こっていることが分かっているので、中国黄土高原ではレッドクレイ層の最上部付近ですでに地磁気強度が減少していた可能性がある。温暖気候を示すレッドクレイが突然終わり、寒冷乾燥気候を示すレスが堆積し始め、地磁気擾乱期終了後に温暖湿潤な古土壌層S32の堆積が起こった後、新定義による第四紀が始まる。これら第四紀直前の劇的な気候変化がガウス・マツヤマ地磁気逆転にともなう地磁気擾乱、地磁気減少と何らかの相関がある可能性は極めて高い。Lingtaiにおけるレッドクレイ層からS32層までの古地磁気分析結果もほぼ同様の地磁気擾乱を明らかにしている。さらに、200km離れたBaojiとXifengにおけるマツヤマ・ブリュンヌ境界の古地磁気を使って、多数の小反転現象が岩石磁気的原因に依らないことを実証した。大阪湾1700-mコアの古地磁気分析から、ガウス・マツヤマ地磁気極性境界をほぼ決めることができた。磁気的に不安定な湖成堆積物のため多数の小反転記録は得られなかったが、小反転の存在は確認できた。花粉分析から、ガウス・マツヤマ地磁気逆転境界はトウヒが卓越する寒冷気候帯に起こっていることが分かった。これにより、中国黄土高原で見つけた古地磁気逆転トランジション層序と古気候層序相関を大阪湾のコアでも確認できた。
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Journal of Geophysical Research 115
ページ: doi:10.1029/2009JB006301