研究概要 |
本年度の研究実績の概要は以下の通りである. (1)休廃止鉱山地域の土壌・水・植物スクリーニング調査 (1)愛媛県市ノ川鉱山周辺,(2)愛媛県弘法師鉱由周辺,(3)愛媛県佐々連鉱山鉱山周辺,(4)岡山県吉永町廃止鉱山周辺,および(5)北海道豊羽鉱山周辺において,土壌・水および自生する植物のスクリーニング調査(重金属濃度分析)を行った.特に(1)(2)に関しては,AsおよびSb,(3)に関しては,CuおよびZn,(4)に関してはAs,Cu,Zn,PbおよびCd,および(5)に関してInムの蓄積濃度が高い植物を探索した.その結果,ヘクソカズラがSbの集積植物であることが明らかになった. (2)室内水耕栽培実験 a.重金属精密分析システムの構築:土壌,水および植物に含まれる重金属を迅速かつ精密に定量分析するためのクリーンラボシステムを愛媛大学理学部に構築した. b.植物の水耕栽培実験:この実験は,温度条件および光源を一定として,実際の鉱山廃水を用いて重金属超集積植物および重金属集積植物の重金属蓄積速度を明らかにするために行った.モエジマシダ,イワガネゼンマイ,マツバイおよびヘクソカズラに関して,この実験を行った.その結果,マツバイに関してはヒ素およびアンチモン,ヘクソカズラに関してはアンチモンの吸収速度が明らかになった. (3)室内土壌栽培実験 重金属集積植物の生育条件の検討:ヘクソカズラの各重金属に対する耐性ならびにアンチモンの蓄積能力を明らかにすることを目的に土壌栽培実験を行った.その結果,ヘクソカズラのアンチモンに対する蓄積能力があることが明らかになった. (4)フィールド実験 (1)〜(3)の研究結果に基づいて,上記(1),(3),(4)および北海道の本庫鉱山地域において重金属汚染された残土もしくは用水路・河川において,マツバイのフィールド栽培実験を行った.その結果,マツバイは鉛に関して,超集積植物であることが明らかになった.
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