研究分担者 |
村山 雅史 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (50261350)
小玉 一人 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 教授 (00153560)
三浦 英樹 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (10271496)
中村 恭之 東京大学, 海洋研究所, 助教 (60345056)
河潟 俊吾 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (90244219)
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研究概要 |
南極海リュツォホルム湾沖コア(LHB-3PC)の有機炭素量および有機炭素同位体比を分析した.その結果,既に分析済みであった同コアのオパール量変動とほぼ整合的な結果を示し,南極表層水域では間氷期に生物生産量が増加し,氷期には低下していたことが判明した.また,有機炭素同位体比は間氷期で重く氷期で軽くなる傾向を示した.この結果も,同海域では氷期に生物生産量が抑制されていたことを強く示唆した.また,約43万年前を境に,生物生産量変動の振幅がより大きくなる傾向が示された.これはmid-Brunhes eventとして注目されている気候変動様式の変換期に対応する.一方,コンラッド海台コア(COR-1PC)の珪藻群集解析の結果からは,完新世に数百年スケールの短周期の群集変化が存在することが新たに判明した.この短周期変動に見られる寒冷種が増加するタイミングは,浮遊性有孔虫の酸素同位体比が重くなる時代に概ね一致する.すなわち,南極環流影響下のコンラッド海台域には完新世に数百年スケールの表層水塊の変化,おそらく南極前線の南北振動が起こっていた可能性が示唆される.これらの成果は,これまで古海洋変動の復元研究例が限られていた南大洋インド洋区における第四紀の古海洋変動を明らかにした点で意義深い.
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