研究概要 |
初年度においては,まず顕微ラマン分光装置の改良を行い,近赤外レーザー(785nm)を追加して,アルゴン(488,514nm),さらにHe-Neレーザー(633nm)も含め計4波長でラマン測定が出来るようにした.これによりラマン測定の最大の難点である蛍光を低減できる.さらに光学系の改造も行い,ダイクロイックフィルターの使用とビームスプリッターの出入機構を自作することにより,従来よりもラマン強度を1桁増加させることに成功した.これは高圧下のガラス試料を測定する場合に威力を発揮する.このラマン装置は既に外熱式ダイヤモンドアンビルセルと組み合わされて,アルカリケイ酸塩メルトー水系の約2GPa,800℃までのその場ラマン測定に成功しており,含水系メルトの研究を共同研究者と進めている. 一方で貴金属線を使ったワイヤーヒーター装置を自作して,ケイ酸塩メルトの常圧高温その場ラマン測定を可能とした.光学系の工夫により1500℃程度まで輻射の影響をあまり受けずにきれいなスペクトルを取得できた.これを使って,ガラス化できないために調べられていないアルカリ土類ケイ酸塩(およびゲルマン酸塩)系の高温メルト構造を組成依存性に着目して調べる予定である. さらに高圧下におけるガラスの圧力誘起構造変化については,次年度に向けて予備的な実験を始めているところである.また次年度は炭酸レーザーによるダイヤモンドアンビルセル加熱システムの導入を予定しており,高圧下で融解・急冷したガラスをそのままラマン測定することなどを予定している.
|