研究課題/領域番号 |
19340164
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中塚 晃彦 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (80294651)
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研究分担者 |
中山 則明 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00164369)
藤原 恵子 山口大学, 工学部, 教務職員 (50253175)
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キーワード | ゼオライト / 結晶構造 / 結晶化学 / X線回折 / 蓄熱材 / 省エネルギー |
研究概要 |
地球規模のエネルギー・環境問題が益々深刻化する中、エネルギー利用の高効率化を図るための新たな省エネルギーシステムとして、ゼオライトを蓄熱材として利用したゼオライトヒートポンプが有望視されている。ゼオライトの熱交換能力(蓄熱能力)の大きさは、構造中の空孔内に存在する水分子の吸脱着プロセスに密接に関係していることから、蓄熱材としてのゼオライトの特性を解明するためには、水分子と交換性陽イオンの位置に関する詳細な情報を得て、それらの結晶学的配置と熱交換能力の関係を明らかにすることが極めて重要となる。しかし、大部分のゼオライト化合物における水分子と交換性陽イオンの位置に関する統一見解は得られていない。そこで、本研究において、これらの結晶学的配置を明らかにし、ゼオライトの蓄熱特性を支配している要因を結晶化学的見地から解明することによって、ヒートポンプ蓄熱材としての結晶化学的な材料設計指針を構築することを目的とした。 水熱合成した人工ゼオライトの一種であるA型ゼオライト単結晶および天然ゼオライトのchabazite(菱沸石)単結晶の結晶性評価を今年度に設備備品として購入したイメージングプレート読み取り装置を用いて行った後、現有の4軸型X線回折装置を用いX線回折強度を測定し、これら単結晶のX線構造解析を行った。水分子と交換性陽イオンの位置を決定するために、席占有率から求めた化学組成が化学分析値と一致するまで、差フーリエ合成で求めた電子密度ピークへの原子assignmentを変えながら構造精密化を繰り返し行った。その結果、水分子と交換性陽イオンの合理的な結晶学的配置の決定に成功した。原子間距離から判断して、フレームワーク酸素と水分子との間の水素結合は非常に弱いと考えられる。
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