研究概要 |
九州南部の活発な火山活動は,陸上や海上に現れた火山活動のみならず,海底にも広く分布しているがこれまでの々の調査で明らかとなってきている(横瀬,2007;横瀬他2010).九州南部を含めたトカラ列島周辺は,地球規の大気・海洋循環における要に対応し,火山防災上,日本列島全体に対して重要な位置となる.これまで,海上部に露出する試料のみで議論されてぎた,トカラ列島の火山岩類は,本研究課題を通じて海底部に分布する火山岩類を含めた検討が可能となり,従来想定されていたトカラ列島の火山活動が,海底部を加味すると全く異なった状況にある事が明らかとなりつつある. 平21度には,長崎丸を使った調査航海を2回実施し,未調査海丘から更に岩石採試料を採集する事が出来た.本研究課題で初めてドレッジされた火山岩類の調査地点は100カ所を越した.平成21年度の調査航海においても,多数の新鮮な(おそらく第四紀)流紋岩質火山岩類が回収された.北部琉球弧の火山フロント上には,海面下において多数の流紋岩質火山活動の存在が確実となった.また,奄美カルデラや口之島カルデラでは,火山性熱水活動を強く示唆するサンプルが回収できた.活発な火山活動は,九州南部から沖縄本島西方海域まで,連続的に存在している事がほぼ確実となった.これまであまり研究の進んでいなかった琉球列島の火山活動は,火山災害軽減のためにも,海底部分を含めたより詳細な研究が今後とも必要不可欠な地域であると言える.
|