研究概要 |
今年度は、磁気リコネクションのエネルギー変換作用、特に非熱的粒子加熱について実験的検証を進めた。実際にドップラー分光計測装置を用いて。合体実験の際のX点領域のプラズマ流速を計測し、アルベーン速度の80%程度のフローを検出した。これによりアウトフロー起源の粒子加速現象はリコネクション下流領域で立証できた。アウトフロー速度はリコネクション速度に一致して増減することが明らかになり、大きな加速・加熱を得るには、単にリコネクション速度を大きくすればよい。一般にリコネクション速度と同様にガイド磁場が小さいほど、外部インフローが大きいほどアウトフロー速度は大きくなる。ただ、高ガイド磁場になるとリコネクションは間欠的になり、アウトフロー速度もそれに比例して増減することが判明し、リコネクションの際のプラズモイド放出に対応する。一部の理論予測のある周辺部での加速などは、波乗り加速などをファラデーカップで検出することを試みたものの、検出できず、実測では実験誤差を考慮してもイオン加熱パワーの5%に満たないことがわかった。また、繰越予算で、産業技術総合研究所から中性粒子ビーム装置とコンデンサー電源を導入し、組み上げ、試験を完了した。ビーム引きだし電極のコンディショニングにより最終的に25kV, 0.75MWという定格を上回る中性粒子ビームの生成に成功し、トーラスプラズマに人為的に高エネルギー粒子を導入する体制が整った。25kV, 07MWの中性粒子ビームを入射して電流シートに局所的に運動量を与えたところ、リコネクション速度はやや遅くなり、磁束とプラズマ電流が1割程度増加することがわかった。更に、ガイド磁場の無い場合については磁束の減衰時間も伸びた。これは高速粒子の導入による電子温度の上昇か安定性の向上を意味し、その効果はガイド磁場のない場合に顕著になる。
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