研究課題
今年度は、90本の光ファイバーにICCDカメラ付きの分光器を組み合わせた2次元イオン温度(トモグラフィー)計測システムの開発を修了し、それと静電プロープによる電子温度計測を駆使して、磁気リコネクションのエネルギー解放効果をイオンと電子に分けてその収支を解明した。リコネクションが定常、非定常でも、イオン加熱が最大となる場所はリコネクション下流領域であり、リコネクションアウトフローが再結合後の磁力線に衝突して熱化することにより発生することが2次元画像で確認された。この結果はガイド磁場やインフローを変化させても変わらないが、加熱領域はガイド磁場が小さいほど広くなる。定常でも非定常でもリコネクションのイオン加熱パワーはアウトフローの速度、即ちリコネクション速度で決まっており、概ね平均リコネクション速度に比例することがわかった。電子加熱は狭い電流シート内に限定され、かつ電子加熱パワーはイオン加熱より1ケタ以上小さい。この結果はF.Chengが対応する条件下で行ったMHDシミュレーション結果と一致しており、粒子シミュレーションと対応している。また、「ひので」衛星観測と一体化した室内実験研究を展開し、1)オーム加熱コイルとトカマクを組み合わせて彩層ジェットのモデル実験を行って磁場構造変化を確認し、2)3つのトーラスを用いた平衡変化により定常リコネクションがインパルス状に変化する点を見出した。3)実験で求めたシート幅を関数にした異常抵抗の大きさを階層シミュレーションの個別階層に取り込み、リコネクションのエネルギー変換を検証した。一連の研究により、磁場の二乗に比例する極めて大きなイオン加熱エネルギーが安価、高効率で得られるハイパワーエネルギー変換器として核融合プラズマの急速加熱へ利用可能であることが明らかになった。
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電気学会論文誌A 130-A
ページ: 343-348
Plasma and Fusion Research ((印刷中)掲載確定)
Nuclear Fusion 29((印刷中)掲載確定)
電気学会論文誌A ((印刷中)掲載確定)
Fusion Energy 2008 9-4
ページ: EX/P 1-6
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