研究課題/領域番号 |
19340176
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 仁 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (90183863)
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研究分担者 |
前川 孝 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (20127137)
打田 正樹 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (90322164)
柴田 一成 京都大学, 理学研究科, 教授 (70144178)
西野 信博 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70243590)
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キーワード | 磁気再結合 / 電子サイクロトロン共鳴 / 低アスヘクト比トーラスプラズマ |
研究概要 |
磁気再結合は太陽フレア、地球磁気圏、トカマクプラズマなどで幅広く観測され、プラズマが関与した普遍的でダイナミックな現象の一つとして知られている。本研究の目的は低アスペクト比トーラスプラズマ実験装置(LATE)において螺旋状の磁場中にマイクロ波を入射して電子サイクロトロン共鳴(ECR)加熱によりプラズマを生成した時に自発的にトロイダル電流が流れ、磁力線の繋ぎ換えが起こってトーラス状の閉じた磁気面構造が形成される現象を観測し、その機構を解明することにある。本年度は3年計画の最終年度であり、以下のような成果を得た。(1)解析モデルの再検討と真空容器に流れる渦電流の作る磁場の正確な除去を行い、磁気プローブ信号による電流分布解析の精度を高めた。そして、軟X線カメラからの信号をコンピュータトモグラフィーの手法により処理して得た軟X線発光強度分布と、高速CCDカメラで撮像したプラズマ発光像の3者を時系列で比較して、トロイダル電流の増加に従って、磁力線、電流を駆動する高速電子、低温のバルクプラズマがダイナミックに変化してゆく様子を捕らえることができた。(2)円筒状真空容器の上下内壁を覆うように電極板を設置し、閉じた磁気面ができる前の螺旋状構造を持っているプラズマに流れる上下方向の電流を測定した。この電流はトロイダル磁場の勾配および曲率による電子のドリフトによって駆動されており、金属製の真空容器を通して循環していることが確かめられた。十数Vの空間電位が生じており、この空間勾配による電場がイオンのダイナミクスに重要な効果を与え、電荷の準中性条件を保持しているものと考えられる。螺旋のピッチが荒くなると真空容器を通る電流が減り、磁力線に沿って流れる成分が増加することがわかった。この沿磁力線電流がトロイダル電流となり、磁気再結合をもたらす「電流ジャンプ」につながってゆくと考えられる。
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