研究概要 |
フェーズI:生体埋め込み型バイオチップ作製のための予験及び新機能性評価 プラズマアクティベーション処理装置を用いたバイオチップ表面への生体物質の化学修飾を行った。具体的には,ポリエチレングリコール(PEG)をグラフト処理した単層CNTをバイオチップ上の電極間に塗布・架橋させた後,プラズマアクティベーション処理装置にてプラズマイオン照射処理を行った。プラズマ発生用導入ガス種は大気(主にN_2:78.08%,O_2:20.95%)であり,照射時間は15〜30minである。対象物質は,牛血清アルブミン(BSA)と抗BSA(anti-BSA)抗体であり,CNTにanti-BSAを化学修飾し,BSAを滴下して実験を行った。まず未処理状態(anti-BSAはCNTに未修飾の状態)の場合,バッファ溶液(緩衝液)中のBSAは負に帯電するため,インピーダンスは緩やかに減少する。(BSAはCNTに無結合。)一方,プラズマアクティベーション法ではanti-BSAへの結合に起因したインピーダンス上昇が観察されている。また,人工DNA(オリゴヌクレオチド)を用いた実験においても同様の変化が得られており,プラズマアクティベーションによる表面処理法が有効な手段であることが判明した。また,COOH基形成率が約20%であったが,最終的には50%以上を目標とした実験条件の把握を行う。特に,OH及びCOOH基の形成比率変化と,CNTと生体物質の結合状態が不明確であるため,ガス種並びにプラズマイオンエネルギーを変化させた場合の詳細な分析・評価を行い,高効率形成を目指す必要である。 フェーズII:培養細胞及び神経線維束を用いたナノバイオセンサの生体適合性に関する実験・評価及びプラズマアクティベーション効果の検証 更に,中枢神経の再生医療において近年注目されている神経幹細胞をプラズマアクティベーション処理したCNT上に成長・伸長させる実験を行った。その結果,プラズマ処理を行ったCNT上では,無処理に比べて神経幹細胞から神経細胞(ニューロン)への分化が促進されることが判明した。
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