研究分担者 |
田村 直樹 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教 (80390631)
佐藤 国憲 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 准教授 (70126861)
尾崎 哲 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 准教授 (50183033)
乗松 孝好 大阪大学, レーザーエネルギー研究センタ, 教授 (50135753)
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研究概要 |
トレーサー内蔵ペレットの特色として、1)プラズマ中のほぼ任意の位置にトレーサーを局所的にデポジットできること、2)トレーサー粒子の総原子数をトレーサー内蔵ペレット製作時に前もって決定できること、3)トレーサー粒子種の選定がほぼ任意であることなどが挙げられる。本研究の目的は、このトレーサー内蔵ペレットを用いて、粒子輸送、高速粒子及び元素スペクトルなどを同時に計測することより、プラズマの振る舞いや関連する物理量を従来に比べて格段に高い精度で計測することである。平成20年度は,同時計測を達成するために必要な各種計測の整備を進めるとともに,核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)において,各種物理量の同時計測を試みた。鉄トレーサーを封入したトレーサー内蔵固体ペレット(TESPEL)をLHDプラズマに入射し,LHDプラズマにより溶発,イオン化した鉄トレーサーからの発光を調整した真空紫外分光器によって測定した。実験では,パラメータ掃引として,LHDプラズマの電子密度及び電子温度を変化させた。これにより様々な電子温度環境下での鉄多価イオンからの線スペクトルに関する情報を得ることができた。また同時に,その後の時間発展まで測定することで,様々な衝突度における鉄トレーサーイオンのプラズマ内輸送に関する情報も得ることができた。同様の実験をスズ及びタングステンをトレーサーとしたTESPELを用いて行っており,各元素における多価イオンからの線スペクトルやプラズマ内輸送に関する情報を得ることができた。この時,ほぼ全てのプラズマに対して,TESPELによる高速粒子計測(ペレット荷電交換粒子計測)を行っていたので,高速粒子に関する情報も得ることができている。それぞれの詳細については,現在解析を進めているところである。また,次年度に向けて,同時計測の利点を最大限に活かすことのできる実験条件について検討を進めた。
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