研究概要 |
量子化学文献データベース(Quantum Chemistry Literature Data Base ; QCLDB)は国内外の主要な学術雑誌に発表された非経験的量子化学計算及び計算方法に関する文献を収録した文献データベースである。1976年にデータベースの構築が立案されて以来、多数の研究者の地道な文献調査活動に支えられて、25年以上にわたって文献収録が続けられ、現在の文献収録論文数は7万件に達している。 一方、QCLDB発足以来25年以上の歴史の間に量子化学計算自体も質的な変化を遂げた。即ち、非経験的量子化学計算は精密な実験と対等な立場で分子科学の発展を相補的に支えるまでに大きく成長し、実験化学者の重要な道具へと進化した。その結果、QCLDBに採録する論文は多様化し、その数も激的に増加した。これらの状況の変化に対応するため、われわれはデータベース作成のポリシーと細かな仕様の変化を絶えず行ってきた。しかし、システム全体を早急に見直さなければ、質の高いデータベースを恒常的に提供できない危機的な状況が予測されたため、蓄積されたデータとの継続性を保ちつつ、今後の計算化学の研究方法の浸透と対象文献の増加に対応できる新しいデータベースのあり方を検討し、新しいデータベース(QCLDB II)の活動指針を実施した。具体的な成果は以下の通りである。 (1)2006, 2007, 2008年の量子化学文献データの収集・精製作業を実施した。2007年版までを公開した。(2)QCLDBの収集作業に協力する研究者への説明会を毎年1回実施した。(3)コアージャーナルの取捨選択を実施した。(4)収集作業をサーバー・クライアント方式のソフトウェアーの改良作業を行った。
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