研究課題/領域番号 |
19350023
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
門田 功 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30250666)
|
研究分担者 |
高村 浩由 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70422798)
|
キーワード | 海洋産天然物 / ポリ環状エーテル / 収束的合成 / 分子内アリル化 / 閉環メタセシス / 全合成 / ブレベナール / シガトキシン |
研究概要 |
昨年に引き続き、分子内アリル化反応と閉環メタセシス反応を基盤とするポリ環状エーテル類の合成研究を行った。海洋産の渦鞭毛藻が生産するポリ環状エーテル類は、赤潮による魚介類の大量死や大規模な食中毒によって沿岸漁業に大きな被害を与えるため、深刻な社会問題となっている。その強力な神経毒性の作用機構に興味が持たれているが、天然からの供給がほぼ不可能であるため、化学合成による試料供給が重要な課題となっている。本年度は、ブレベナールの改良合成を行った。この化合物についてはこれまでの研究によりその全合成を達成しているが、今回合成ルートの見直しを行い、より効率的な合成について検討した。具体的にはこれまでと逆にD環部を閉環メタセシスにより、E環部を分子内アリル化によって構築した。また、E環部前駆体となるフラグメントにあらかじめアリルスズ部位を導入しておくことによって、より収束的な合成を達成し、工程数の短縮と総収率の向上を図ることができた。シガトキシンについては、昨年までに合成したH環部とKLM環部を分子内アリル化と閉環メタセシスによって連結し、分子右側フラグメントに相当するH-M環部の基本骨格を合成することに成功した。また、8員環エーテルであるE環部の改良合成にも成功した。E環部については、文献の方法に従い、アルドール反応と閉環メタセシスを用いて合成を行っていたが、合成の初期段階で立体異性体が生じるため、スケールアップの際に問題となっていた。今回、アリルスズの分子内反応を用いることで、目的の立体異性体のみを単一物として得ることができた。
|