研究課題
基盤研究(B)
金属イオンと有機物を素材とする金属錯体は、生命活動に必須の微量金属イオンの役割やバイオメカニズム解明の可能性をもたらすなど、近年、生命科学の発展に大きなインパクトを与えている。生理活性無機有機複合体という物質領域は生物無機化学と生物有機化学に端を発し、従来の錯体や有機化学の化合物概念を遥かに凌駕する複雑な化学として成長している。欧米先進国においては、既に10年ほど前から金属イオンの動物・人体内での挙動とその医薬としての有用性を見出すための研究が開始されており、化学者・薬学者および医学者が共同して無機薬理学という新しい学問領域を創成している。しかし、残念ながらこの分野のテーマの大部分は欧米で開拓されたものであり、欧米諸国と比較して立ち後れているのが現状である。日本の試薬企業においては金属イオンの生体に対する毒性が強調されるあまり、一般的に、金属イオンを医療に応用することにはおよび腰であるように思われる。このように企業がなかなか参入しない分野に対してこそ大学の研究者が先駆的に参加し、基礎化学を展開し、先導役を果たしていく事に重要な意味があると考えられる。本研究課題では、我々が世界に先駆けて独自に切り開いてきた糖質の配位化学という研究領域を基盤として、この分野に切り込み、配位環境の制御により生体適合性に優れた生理活性無機有機複合体の設計とバイオメカニズムの解明を目指している。
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