水溶液中で陽イオンと陰イオンの間でおこるイオン会合は比較的弱い反応であるが、生命科学にも密接に関連する重要な基礎反応の一つである。新たにイオン移動度の精密測定法を開発し、基礎となる平衡反応を解析し、イオン会合挙動に寄与する因子をまとめた。求めた平衡定数と溶媒抽出定数を用いて、液液分配に関係する素平衡を解析することに成功した。これらの知見を基に新規イオン会合試薬の合成開発を行い、水溶液中で極めて安定な一価イオンのトリフェニルメタン系試薬の合成に成功し、イオン会合滴定指示薬等への新たな応用を開拓した。イオン会合の概念を拡張した新たな分離分析分野として、キトサンを基材とするイオン性物質の捕集・濃縮剤を開発し、環境分析等へ応用できることを実証した。
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