DNA解析など、多種試料の並列高速センシングへの要求が高まっている。このような要求に応えるため、2次元イメージング手法を駆使した光学機器が開発されている。しかしながらこの種の分析手法の多くは高感度である反面、装置、ランニング費用ともに高くになりやすく、また、装置の小型化についても難点が多い。これに対して、本計画で開発する金ナノ粒子アレイ検出システムは、ナノ粒子間に作製された空間を利用する配列膜を使用するものであり、電流計測により対象物質の定量が可能である。また原理的にナノサイズにまでダウンサイジングが可能であり、次世代センシングシステムの要件を満たしている。最近、我々は一本鎖DNA断片で修飾したナノ粒子プローブをさらに金ナノ粒子アレイに配置した跳ね橋構造の膜を作製した。この2重配列膜の特徴は検出感度の大幅向上が達成されたことであり、この手法を用いた検討を本研究で行った。 今回開発した方法では50fmolのDNAで約60mΩ(ベース抵抗、400Ω)の応答が得られ、さらに5fmol量でも測定が可能であることが確認できた。速度、1塩基ミスマッチに対する選択性も1粒子システムと同等に良好であった。塩基配列に関しても当初A-Tでのみ検討を行ったが、その後ランダム配列の試料においても同様の挙動が確認できた。ナノプローブは作製も容易であり、今後の研究計画では2粒子膜の挙動および物性をマルチチャンネル型スペクトロメータを用いて詳細に検討し、感度および選択性に関して基礎的理解を深める予定である。
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