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2009 年度 実績報告書

基盤型キラル分子ツールの開発と展開

研究課題

研究課題/領域番号 19350048
研究機関岐阜大学

研究代表者

村井 利昭  岐阜大学, 工学部, 教授 (70166239)

研究分担者 芝原 文利  岐阜大学, 工学部, 助教 (60362175)
キーワードキラル分子ツール / セレリン酸クロリド / セレノリン酸エステル / 絶対配置 / 光学分割
研究概要

本研究では、リン酸エステルのP=O酸素原子を硫黄またはセレン原子に置き換えた誘導体、なかでもビナフチル基を有するものを新しいキラル分子ツールとして開発することを目指し、以下の成果を得た。
まず塩基存在下、1,1'-ビ-2-ナフトール、三塩化リンおよび粉末セレンを反応させることでセレノリン酸塩化物を高収率で得た。これに対して様々な炭素数の脂肪族2級アルコールを反応させてエステルとした。いずれの場合も二つのジアステレオマーをほぼ同じ程度の比で与えた。しかもそれらを31Pおよび77Se NMRスペクトルで区別することができた。またその化学シフトが観測される位置について一般的な傾向を見いだした。これを用いることで、ジアステレオマーの絶対配置さらにはそれを導くキラル2級アルコールの絶対配置を類推する方法を提供できた。実際には1-アリール-2-プロパノールを対象に、芳香環に異なる置換基が導入された誘導体のリン酸エステルを調製し、31P,77Seに加えて1H,13CNMRの化学シフトを一覧にした。それをもとに絶対配置が決定されていなかった1-(4-フルオロフェニル)2-プロパノールの絶対配置を決定した。またエステルと過剰のBuLiとの反応はP-O結合の切断を伴って進行し、対応するアルコールを切り出すことができる。これを用いて再結晶などによって光学純度を向上させたエステルから光学活性1-(4-フルオロフェニル)2-プロパノールも単離することができた。ただしこの絶対配置決定法は、類似の置換様式を有するアルコールからエステルを合成し、先に示した四つのNMRの一般的な傾向が同じであることを示した後に、絶対配置が未決定な誘導体に適用しなければならない。アミド、エステルなどのカルボニル基を有するアルコールに適用する場合には注意を要することもわかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Assignment of the Absolute Configurations of 1-Aryl-2-propanols with the Use of Phosphoroselenoyl Chlorides as Chiral Derivatizing Agents2010

    • 著者名/発表者名
      Murai, T.; Tsuji, H.; Imaizumi, S.; Maruyama, T.
    • 雑誌名

      Chem.Lett.

      巻: 39 ページ: 524-526

    • 査読あり
  • [学会発表] Synthesis and application of chalcogen isologues of optically active phosphoric acid derivatives2010

    • 著者名/発表者名
      T.Murai
    • 学会等名
      The 11^<th> International Chemistry Conference and Exhibition in Africa
    • 発表場所
      ルクソール(エジプト)
    • 年月日
      2010-11-21
  • [学会発表] ビナフチル基を有するチオリン酸エステルとフッ化物イオンからのモノフッ化チオリン酸塩の合成と性状の解明2010

    • 著者名/発表者名
      山田恭平・武仲徹・村井利昭
    • 学会等名
      第41回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
    • 発表場所
      豊橋科学技術大学
    • 年月日
      2010-11-07
  • [学会発表] ビナフチル基を有するセレノリン酸エステルを用いたキラルアルコール識別・分割法及び絶対配置推定法の開発2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤光・村井利昭
    • 学会等名
      第21回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2010-09-11
  • [学会発表] 遠隔位キラル炭素を有するアルコール由来のセレノリン酸エステルの識別と反応2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤光・武仲徹・村井利昭
    • 学会等名
      日本化学会第90春季年会
    • 発表場所
      近畿大学
    • 年月日
      2010-03-26
  • [学会発表] ビナフチル基を有するチオリン酸エステルとフッ化物イオンとの反応によるP-キラルなモノフッ化リン酸塩の合成2010

    • 著者名/発表者名
      山田恭平・武仲徹・村井利昭
    • 学会等名
      日本化学会第90春季年会
    • 発表場所
      近畿大学
    • 年月日
      2010-03-26

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公開日: 2012-07-19  

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