研究課題/領域番号 |
19350051
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80210821)
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研究分担者 |
松原 浩 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (20239073)
福山 高英 大阪府立大学, 理学系研究科, 講師 (60332962)
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キーワード | ラジカル付加反応 / 連鎖反応 / ヒドリド還元 / ハイブリッド型反応 / Giese型反応 / ヨウ素移動反応 |
研究概要 |
本研究では、既存の方法では困難とされてきたラジカル種に基づく分子変換法に照準を定め、革新的なラジカル反応の創出を図ることを目的としている。すなわち、ラジカル連鎖反応過程にイオン反応や遷移金属触媒反応を組み合わせた反応系を構築することでラジカル反応の新機軸を目指しているが、本年度においては、新しい還元型ラジカル反応の開発を行った。連鎖型ラジカル付加反応では、これまでトリブチルスズヒドリドをメディエーターとして用いる多くの応用例が開発されてきた。しかしながらスズヒドリドに代表される有機スズ試薬は毒性が懸念されることから有機スズ試薬を排した反応系の開発が望まれている。種々検討の結果、ラジカル連鎖反応にホウ素ヒドリド還元を組み合わせたハイブリッド型反応システムを用いることで脱スズ型ラジカル連鎖反応を達成した。例えば、アルキルヨウ素化物とアクリル酸エロテルとの反応をNaBH_3(CN)存在下、光照射条件で反応を行ったところ、Giese型反応が効率よく進行した。本反応はラジカル開始剤を用いた熱的条件でも効率良く進行した。本反応の詳細な機構解明は次年度の課題であるが、ヨウ素移動型反応と、それにより生成するα-ヨードエステルのホウ素ヒドリド種によるイオン的還元を鍵としているものと考えている。また、ホウ素ヒドリド種との組み合わせはスズヒドリドを用いないアルキルヨウ素化物のラジカルヒドロキシメチル化反応や他の多成分反応においても有効であることも見いだした。
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