研究課題/領域番号 |
19350051
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80210821)
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研究分担者 |
福山 高英 大阪府立大学, 理学系研究科, 講師 (60332962)
小林 正治 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (30374903)
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キーワード | ラジカル / 光照射反応 / 一酸化炭素 / 多成分連結反応 / ヒドロキシメチル化反応 / アセチレンケトン / 金属ラジカル / ラクトール |
研究概要 |
現代社会は多種多様な機能を持つ有機化合物が数多く求められており、安価で簡潔な原料から出発して、これら機能性有用分子へと簡便に変換するための力量ある新反応が求められている。また開発すべき新反応は環境調和型であることも強く求められている。本研究では既存の方法では困難とされてきた分子変換法に照準を定め、活性種の複合化を基軸とした革新的ラジカル反応の創出により問題解決を図ることとした。すなわち、ラジカル種と非ラジカル種である短寿命活性種が複合的に機能する連鎖反応系の開拓に焦点を当て研究を推進したが、本年度は以下に示す成果を得た。 ヒドロキシメチル化に代表される一炭素を増炭する反応は合成化学的に有用である。光照射下でのラジカル種とイオン種が協同作用する反応系としてブラックライトを光源とする省エネルギー型反応プロセスを検討した。その結果、常圧の一酸化炭素とアート型ヒドリド種との併用によるヨードアルカン類のヒドロキシメチル化に成功した。以前の反応系は加圧一酸化炭素を用いる必要があり、かつ毒性の憂慮される有機スズ化合物を用いる例であった。また、この反応を天然化合物であるコミュニオールEの鍵中間体合成に応用した。一方、遷移金属触媒によって末端アセチレンと一酸化炭素と有機ハロゲン化物からアセチレンケトンを合成する手法はこれまで芳香族ケトンに限定されていた。そこで、炭素ラジカル種とパラジウム種が共存する活性種複合系に着目し、検討を行った。その結果、光照射下に水と塩基を共存させて反応を行うと、アルキル鎖を有するアセチレンケトンが良好な収率で合成可能となった。また、一酸化炭素共存系で発生させたラジカル種の極性カルボニル部位を分子内の水酸基で捕捉する実験を試みたところ、ラクトールが生成する反応も見出した。これらの結果はラジカル反応における活性種複合化の有効性を実証するものとなった。
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