研究概要 |
両末端がアルキル鎖で修飾された感熱性テレケリック鎖C18-PNIPAM-C18(M=12, 22, 35, 49K)の水/メタノール混合溶媒中での相分離開始点(曇点)LCSTを測定し(Winnik),競合水素結合による理論計算と比較検討することで共貧溶媒性の分子メカニズムを解明した(田中,古賀).協同水和による架橋ゲルの体積相転移の理論的研究を行い(田中,小島),未解決であった高温凝集型不連続相転移の分子メカニズムを解明した.主鎖の連鎖性協同水和と末端基の会合が共存するような溶液について「高分子水溶液の統計力学モデル」を構築し,コイル・グロビュール転移曲線,ならびにLCST型の曇点曲線を計算することで主鎖ならびに末端基の効果を解明した(田中,古賀) 非アフィン組替えネットワーク理論(田中,古賀)と分子シミュレーション(古賀)を用いて,上記のテレケリック鎖ゲルの流動特性(シックニングとオーバーシュート),法線応力効果,剪断バンディング,高剪断速度での破断現象の研究を行った.テレケリックポリエチレンオキシドを用いて剪断開始流における応力の経時変化を測定し,結果を比較した(金田).オーバーシュートの起こる時間と剪断速度との関係を見出した. 界面活性剤準濃厚溶液における絡まりあった紐状ミセルの流動特性,特に粘弾性と緩和時の実験結果を説明するため,すり抜け,組み替えが可能な環状鎖モデルを構築し,トポロジー的な視点からレオロジーの解析を行った.緩和時間が濃度とともに減少する奇妙な現象が解明された.
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