研究概要 |
水溶性感熱高分子であるポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)を主鎖とし,両末端に種々の疎水基(とくにフッ素化炭素の短鎖)を有する新規会合高分子(テレケリック会合高分子)を合成し,それらの水溶液中における高次会合構造を熱・統計力学的な手法で理論的に解明する.また,ネットワークを形成する濃度領域でレオロジー物性の測定を行い,結果を理論解析,分子シミュレーションを用いて解析する.具体的には (1)PNIPAMの水/メタノール混合溶媒中における共貧溶媒性(鎖の再帰コンホメーション転移と曇点降下)の分子論的な起源を解明する.これにより,混合溶媒系の選択吸着に関する基礎的な知見が得られ,他の混合溶媒系に応用できる.本系では混合溶媒のモル分率が0.35あたりで貧溶媒性が顕著であり,メタノール過多領域では本来の良溶媒性を回復する.初期勾配(曇点降下係数)と極小組成を分子パラメータを用いて表現する.(カナダグループとの共同研究) (2)新規テレケリック会合高分子の合成とキャラクタリゼーション:主鎖として感熱性高分子PNIPAMとポリオキサゾリン(PiPrOx)の2種,末端疎水基としてアルキル鎖(C-),フッ化炭素(F-)の新規テレケリック鎖を合成する.それらの希薄水溶液物性を測定する.順濃厚領域での溶液構造,流動特性を測定し,ネットワークの物性を分子論的に解明する.(カナダグループとの共同研究)
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