研究課題
本研究では、従来のイオン重合では困難とされてきた不均一系でのリビングカチオン重合の検討を酸化鉄により行った。不均一系で触媒の除去・回収・再利用が容易になると、重合プロセスの大きな進歩にもなる。本年度は、(i)リビング重合性の確認と最適条件の探索、(ii)酸化鉄系特有の重合挙動及び重合機構の検討、(iii)酸化鉄以外の金属酸化物によるリビング重合の可能性に関する検討を行った。(i)リビング重合の最適条件を検討するために、酸化鉄触媒(Fe_2O_3など)の最適な構造、精製法、粒度、エージング方法等を検討した。その中で最も興味深い結果は、Fe_3O_4の重合系であった。砂鉄の主成分として知られるこの常磁性の酸化鉄は、重合後の触媒除去を磁石で行えるとてもユニークな系であった。この系においてもFe_2O_3同様に、添加塩基存在下で極めて分子量分布の狭いリビングポリマーが得られ、リユースも可能なことがわかった。(ii)主に高温での重合と系中の水の影響に関して検討を行った。その結果、30℃での重合や未精製の溶媒を用いた系からもリビング重合が進行することがわかった。また、(i)や(iii)の結果(エージングや撹拌の影響など)と合わせて考察することにより、この特異的な重合系の反応機構も検討した。(iii)反応機構を検討する意味も含めて、他の金属酸化物を用いた不均一リビングカチオン重合の検討を行った。その結果、In_2O_3及びGa_2O_3からリビングポリマーを得ることが出来た。しかしこれらの系では、酸化鉄とは異なり添加塩基だけでは活性種が安定化されず、添加塩やプロトントラップ剤の添加が必要であった。一方、金属酸化物で重合が進行しない、または全く制御されない系(Nb_2O_5、MoO_3)も同時に見いだされ、今後の重合機構解明へ大きな一歩となった。
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