研究概要 |
DNAは,素結合により相補鎖を特異的に認識・結合でき,酵素による切断や接合が可能であるなど,ナノスケールでの分子組織体を構築するのに最適な素材であるという特徴を利用して,合成が著しく困難とされてきたインターロックト超分子化合物であるポリおよびオリゴカテナンの合成を試みている。DNAポリおよびオリゴカテナンを合成する手法として,我々は,n本の60mer DNAからなるpseudo-[n]-catenaneを1ユニットとし,テンプレートDNAを加えてpseudo-[n]-catenaneユニットに平面性と剛直性を与え,酵素反応により接合することでカテナンを調製する手法を考案し,これをTemplate Assisted Polycatenation(rApC)法と名付けた。今年度は,ポリおよびオリゴカテナン合成技術確立のため,テンプレートDNAの長さとシーケンスを調節することにより,意図した重合度を持つDNAオリゴカテナンの選択的合成を試みた。TAPC法を利用して,テンプレートDNAの長さとシーケンスを調節し[3],[4],[5],[6]カテナンをそれぞれ選択的に合成することを試みた。反応生成物を直鎖状DNAの末端から切断・分解するエキソヌクレアーゼで処理した後にう8MのUreaを含有した8%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって同定を行った。残ったバンドはエキソヌクレアーゼ処理後の結果なので,DNAは環状構造を有していると考えられ,また,8M Urea含有条件であるため相補鎖と水素結合を形成していない。この状態で,環状60merDNAよりも高分子量側にバンドが現れたのは,環状構造を有するDNAが機械的に連結しているからであると考えられ,DNA[3],[4],[5],[6]カテナンの生成を示唆する結果が得られた。
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