(1)3分子系超分子機械の構築 3分子系分子機械として、末端プローブ分子(1)、光駆動分子(3)、これらを仲介するブリッジ分子(2)から成る超分子機械を設計した。光駆動分子としては、高効率で光異性化反応を起こすフォトクロミック分子として知られているジチエニルエテン誘導体を採用した。光駆動分子3とプローブ分子1はそれぞれ2つのピリジン環を持っており、お互いの間に強い分子間相互作用は働かない。一方、ブリッジ分子2はビフェニル骨格上に合計4つの亜鉛ポルフィリン部位を有しており、1あるいは3と配位結合を形成する。ここで、2の4つの亜鉛ポルフィリンには、ビフェニル骨格に直接結合している2つと(ZnPshort)、、エチニル基を介して結合している2つ(ZnPlong)の2種類がある。非常に興味深いことに、紫外可視吸収スペクトルを用いた滴定実験の結果、1、2、3を混合した場合には、光駆動分子3は2つのZnPlongに、プローブ分子1は2つのZnPshortに選択的に配位して、直線状に連なった3分子ヘテロ会合体を形成することが分かった。さらに、光照射により、3の異性化に伴って、直接相互作用している2だけでなく、1にもその動きが伝達されていることを見いだした。
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