研究課題
我々が開発した粒子画像流速測定(PIV)法による内部流動評価装置を用い、液滴の転落挙動の解析を進めた。フルオロアルキルシラン(FAS17)の高度平滑コーティング表面に対して表面被覆率を変化させて転落挙動を解析した。その結果、被覆率の低下に伴い転落加速度は低下するが、加速度に及ぼす滑り成分と回転成分の比は変化しなかった。このことから化学的な不均一性よりもナノレベルの物理的粗さの方が滑り成分の低下に寄与することが判った。また耐久性の高い超撥水コーティングの作製を目指して検討を行い、水熱処理により得られる針状ベーマイトと、アルコキシドの分相から得られるクレータ構造を組み合わせ、フルオロアルキルシランをコーティングすることにより、これまでより機械的耐摩耗性に優れた「透明」超撥水コーティングを作製することができた。更にこれまでより分子構造の長いフルオロアルキルシラン(FAS21)を用いて高度平滑コーティングを作製し、そこでの水滴の転落と蒸発について調べた。その結果、転落挙動に対する表面内でのナノレベルの不均一性の影響はFAS17とほぼ同様であった。蒸発時の接触角の変化は、単位時間当たりの変化量が大きいpLレベルの水滴の場合、転落挙動同様に、ナノレベルの不均一性の影響を顕著に受けることが判った。このことから、pLレベルの微小液滴の蒸発挙動を調べることで、動的撥水性(転落加速度)の大きさの選別が可能であることが示唆された。このことから微小液滴の研究を更に展開したところ、イオン液体とFAS3表面での接触角の液滴サイズ依存性から、これまでの線張力の評価値には静水圧が影響している可能性が高いことが明らかになった。
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