研究課題/領域番号 |
19350070
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥村 光隆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40356712)
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研究分担者 |
川上 貴資 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30321748)
北河 康隆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60362612)
山中 秀介 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10324865)
長尾 秀実 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30291892)
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キーワード | 有機磁性体 / 磁気的相互作用 / 有機金属錯体 / 有効交換相互作用 / 磁気異方性 / 伝導性 / スピンシミュレーション / 第一原理計算 |
研究概要 |
分子レベルの構造が主要因となり、電子スピン(磁性)と導電性などの物性が共同現象的に発現する物質系はエレクトロニクスなどの応用面からも、物性発現機構の解明という基礎研究分野からも非常に注目される研究対象である。特に、ナノ磁性体、複核遷移金属錯体、分子性磁性超伝導体等の物質は、構造とスピン状態、そして反応性、導電性といった物性が密接に関連している為、興味深い系である。これらの物質に関しての研究は、日本が世界をリードする電子部品材料開発や触媒開発等の未来にも密接に関連するといえる。そこで、これらの系に対して理論研究によりスピンと他の物性が協奏する系を電子状態のレベルから解明して、巨視的な物性量を予測することを目的とする。昨年度からの研究を継続して、金属錯体の伝導性及び磁気的特性の理論的研究を実施する。また、分子軌道とバンド構造との両面から考察することにより、物性の関係を統一的に考察する。 特に、Coupled Cluster法や様々な密度汎関数法の汎関数におけるスピン混入の影響を詳細に検討し、近似スピン射影法の妥当性を明らかにすると共に、磁気的相互作用パラメーター算出における手法依存性の解明を行った。 さらに、スピンフラストレーションを起こす構造を有するモデルクラスターに対してGSO計算を実施することにより、磁気的相互作用をより正確に算出した。対象としたモデル系はH3クラスターやMn3CaO4クラスターである。特にMnモデルクラスターでは、Mn原子間の磁気的相互作用を理論計算により算出し、そして得られた磁気秩序パラメーターを用いて磁気感受率曲線をシミュレーションすることに成功した。
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