研究課題
バイオマスから製造されるバイオベースポリマーの一つであるポリヒドロキシブチレート(P(3HB))およびセルロースアセテート(CA)からエレクトロスピニング法によりナノファイバーを作製した。P(3HB)及びその共重合体から作製したナノファイバーマットをラットの背中に埋入し、一定時間経過ごとの分子量、形態、周辺細胞の炎症反応などを調べた。その結果、生体内吸収性速度は、共重合体の種類および組成によりコントロールすることが出来ることがわかった。さらに、埋入直後は周辺細胞に炎症反応が認められたが、ナノファイバーが吸収されるにつれ、炎症が治まることがわかった。生体適合性と生体吸収性速度の制御された優れた材料を作製するための重要な知見を得ることが出来た。これまでナノファイバーの物性は、ナノファイバーの直径がナノオーダーであるため、繊維一本の物性を測定することが出来ず、ナノファイバーマット全体の物性を測定することしかできなかった。今回我々は、原子間力顕微鏡のカンチレバーを用いて、ナノファイバー一本の物性を測定することに成功した。シリコンウエハ上に数マイクロメートルの溝を刻んだ基盤を用意し、その上でナノファイバーを作製した。カンチレバーの先端で溝にかかったナノファイバーの中心を押す三点曲げ試験を行うことにより、カンチレバーのフォースカーブから、単繊維の曲げ弾性率を測定することに成功した。その結果、直径が細くなるにつれ、急激に曲げ弾性率が上昇することがわかった。
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