研究課題/領域番号 |
19350080
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
尾高 雅文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (20224248)
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研究分担者 |
養王田 正文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (50250105)
山田 和弘 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 特任准教授 (90431973)
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キーワード | 加水分解酵素 / チオシアネート加水分解酵素 / ニトリルヒドラターゼ / 翻訳後修飾 / アクセサリー蛋白質 / 金属酵素 / 結晶構造解析 / 無細胞タンパク質合成 |
研究概要 |
チオシアネート加水分解酵素(SCNase)はチオシアネートの水和、加水分解反応を触媒する酵素であり、アミノ酸配列や立体構造の高い相同性からニトリルヒドラターゼと同ファミリーに分類される。触媒中心は翻訳後修飾を受けた2つのシステイン配位子を含む特異な構造のコバルトセンターであり、γサブユニットに結合している。本酵素の触媒中心形成機構解明のため、構造遺伝子下流にコードされる活性化タンパク質P15Kと各サブユニットの相互作用を解析したところ、P15Kはγサブユニットのみと1:1の複合体を形成した。次に、培地にCoイオンを添加した条件でγP15Kの共発現を試みたところ、γP15K複合体とγサブユニットがコバルトを保持した状態で精製された。いずれも天然型SCNaseと類似したスペクトルを有し、質量分析により成熟型酵素と同様なシステイン配位子の翻訳後修飾を形成していることが確認された。以上の結果から、P15Kはγサブユニットと複合体を形成することでCoイオンの結合およびγサブユニットのシステイン配位子の翻訳後修飾を促進すること、その後γサブユニットからのP15Kの解離、残りのサブユニットの結合が起こることで成熟化されたSCNaseの発現が起こることが予想された。そこで、コバルトを結合したγサブユニット含む無細胞タンパク質合成系でα、βサブユニットの合成を行い、γサブユニットとの複合体系性能を解析した。その結果、αサブユニットはγと単独で複合体を形成できるが、βはαを共発現したときのみ、γとも複合体を形成した。また、α、β、γの複合体だけはSCNase活性を示した。以上の結果から、コバルトを結合したγサブユニットにα、βの順で複合体を形成することにより、成熟したSCNaseを生じることを明らかにした。
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