研究概要 |
本研究の目的,ならびに平成19年度研究実施計画に基づき,下記の検討を行った。 1.モノリス型アフィニティ担体の合成法の確立 2.非特異的吸着の無いモノマー類の検索と利用 3.アフィニティ担体の表面環境の制御 その結果,リガンドとなる低分子化合物の担体への固定化に必要なアミノ基を自在の密度で定量的に導入し,併せてモノリス構造を維持することができるアフィニティ担体の合成方法を確立することができた。この際,アミノ基密度は最も少ない場合の約60倍程度までは,モノリス構造を全く損なうことなく,導入することが可能であった。 また,非特異的吸着の無いモノマー類の検索を種々行った結果,スペーサーにオリゴエチレングリコール鎖を有するモノマーが最も適していることが判明し,しかも,その鎖長が有る程度長い場合には,ほぼ完全に非特異的吸着の無いアフィニティ担体を合成できることが明らかとなった。さらに,オリゴエチレングリコール鎖長・密度を自在に配置することによって,タンパク質の形状,機能保持に極めて重要な役割を果たすとされる「ソフト界面」の形成が可能となり,従来は,リガンド密度の増加に伴い,不可避とされた非特異的タンパク質吸着を,ほぼ完全に抑制できることが明らかとなった。 得られたアフィニティ担体をベースとして調製したアフィニティ樹脂を用いるタンパク質捕捉実験においては,従来では不可能とされてきた標的タンパクの捕捉に加えて,新たな標的タンパク質と思われる複数の特異的タンパク質の捕捉を確認することが可能となった。 このように,平成19年度の目的であったモノリス型アフィニティ担体の合成方法の確立,さらにはその特性解析に関して,当初の目的にかなう成果を得ることができた。予定は極めて順調である。
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